アメリカへ商品を販売する際、避けて通れない法律の一つが「CPSIA(Consumer Product Safety Improvement Act/米国消費者製品安全改善法)」です。特に子ども向け商品を取り扱う場合は、知らずに違反してしまうと商品差し止めや多額の罰金リスクも…。
今回は「CPSIAとは何か?」「対象商品は何か?」「どんな義務があるのか?」をわかりやすく解説します。
1. CPSIAとは?
CPSIAとは、2008年に制定された米国の消費者製品安全改善法で、特に子ども向け製品の安全性を強化することを目的とした法律です。
制定の背景には、おもちゃや子ども服などで有害な鉛やフタル酸エステルが含まれていた事例が多発したことがありました。
この法律の施行・管理はCPSC(米国消費者製品安全委員会)によって行われています。
2. 対象となる製品とは?
CPSIAの主な対象は「12歳以下の子どもを対象とした製品」です。具体的には以下のような商品が該当します:
- 玩具(おもちゃ、パズル、ぬいぐるみなど)
- ベビー服・子供服(スナップ、ひも、ボタンも含む)
- 子ども用の家具(ベビーベッド、ハイチェアなど)
- 書籍や文房具(紙のインクや塗料が含まれる場合)
- スポーツ用品(子どもサイズのスケートボードや自転車ヘルメット)
- アクセサリー(ネックレス、ブレスレット等)
❗ 注意:製品そのものが「子ども向けでない」と主張しても、サイズ・デザイン・パッケージ・販売場所から「子ども向け」と判断されれば対象になります。
3. 輸出業者に求められる義務とは?
CPSIA対象商品をアメリカに販売する際、以下のような要件が求められます。
✅ 第三者試験(Third-party Testing)
CPSCに認可された検査機関での試験が必須です。鉛含有量、フタル酸エステルなどの安全基準をクリアする必要があります。
✅ 子ども製品認証(Children’s Product Certificate)
製品が法令を遵守していることを示す「CPC(Children’s Product Certificate)」を作成・保持する必要があります。
✅ トラッキングラベルの表示
製造者・ロット番号・製造日・製造地などを明記した追跡可能なラベルを、製品およびパッケージに記載する必要があります。
4. 違反した場合のリスクは?
- 商品の差し押さえ/販売停止
- 数十万ドル規模の罰金
- アカウント停止(Amazon等)
- 消費者・取引先からの信頼喪失
特にAmazonなど大手モールでは、CPC未提出による出品停止が頻繁に発生しています。
5. CPSIAの調査・準備のすすめ方
① まずは「自社商品がCPSIAの対象かどうか」を確認する
② 必要に応じて第三者試験を依頼する(CPSC認定機関一覧:https://www.cpsc.gov)
③ CPCの作成・保管(英語)
④ 商品やパッケージにトラッキングラベルを明記する
まとめ:CPSIAは「知っていれば怖くない」
越境ECや海外卸を行う上で、米国市場の「安全基準」は避けて通れません。
特に子ども向け製品は規制が厳格だからこそ、しっかりと準備しておけば、大きな信頼とチャンスにつながります。
商品がCPSIA対象か不安な方は、まずは製品カテゴリーや対象年齢を再確認してみてくださいね。