〜知らないと損する「再輸入」の関税ルール〜
海外に商品を輸出したあと、何らかの事情で再び日本に戻す——そんなケースは決して珍しくありません。たとえば、展示会への出展、修理対応、あるいは販売後の返品。こうした“再輸入”の場面で、気になるのが「関税」です。
ここで出てくるのが「再輸入免税」という制度。
でも、「一度でも販売された商品」も再輸入免税の対象になるのでしょうか?
今日はこの疑問に答えつつ、輸出入ビジネスに関わる方に役立つポイントを解説していきます。
再輸入免税とは?
再輸入免税とは、一度日本から輸出された商品が、一定の条件を満たして日本に戻ってくる際に、関税や消費税が免除される制度です。
税関が定める再輸入免税の基本条件は、以下のとおり:
- 元々日本から輸出された貨物であること
- 輸出後、外国で消費・加工・変更等されていないこと(=原状のまま)
- 輸出後の再輸入であることが証明できること(例:インボイス、輸出許可書、シリアル番号等)
「一度でも販売された商品」は対象になるのか?
結論から言うと……
はい、販売済みであっても条件を満たせば再輸入免税の対象になる可能性があります。
ただし、以下のようなケースが分かれ目です。
✅ 再輸入免税が適用される例
- 海外の顧客に販売したが返品された商品(未使用・未加工)
- 展示目的で輸出し、展示終了後に返送された商品
- 検品のため一度輸出し、その後日本に戻した商品
これらは、商品が**「輸出時と同一の状態」で戻ってくる**場合で、かつ販売された事実があっても、免税対象になることがあります。
❌ 再輸入免税が適用されない例
- 海外で使用された中古品として戻ってくる商品
- 現地で修理・改造された商品
- 現地で別の商品と合体・加工されたもの
つまり、「原状のまま戻ってきた」ことを証明できない場合、免税は基本的に受けられません。
実務で気をつけたいポイント
1. 証拠書類をしっかり残す
インボイス、出荷時の写真、シリアルナンバー、出荷伝票など、「この商品が元々輸出されたものだ」と証明できる書類は必須です。
2. 輸出時に「一時輸出」として届け出るのが理想
返品などが想定される場合、最初から「一時輸出」として税関に届け出ておけば、再輸入時の免税手続きがスムーズになります。
3. 輸出から再輸入までの期間にも注意
制度上、明確な期限は設けられていませんが、「合理的な期間内」に再輸入されることが望ましいとされています。
最後に:制度を理解して損しない貿易を
再輸入免税は、輸出入ビジネスにおけるコスト管理に直結する大切な制度です。一度販売された商品であっても、状態や証明次第では十分に免税対象となり得ます。
少しの知識と準備で、大きなコストを回避できるかもしれません。
「再輸入時の関税、払うしかない」とあきらめる前に、ぜひ一度専門家や通関士に相談してみてください。
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