〜“親しみ”と“地雷”は紙一重?グローバルSNS戦略の落とし穴〜
「バズらせたい」「現地の若者に刺さりたい」
そんな思いから、現地のスラングをSNS投稿に使うブランドが増えています。
しかし、スラングは諸刃の剣。
使い方を間違えれば、「不快」「ズレてる」「差別的」と炎上リスクも。
今回は、「スラングを使うべきか否か?」を判断するための視点を、実例とともに解説します。
🤔 スラングとはそもそも何か?
スラングとは、特定の世代・地域・文化圏で一時的に流行する砕けた言葉。
親しみ・カジュアルさ・共感を演出できますが、その一方で:
- 正式な言葉ではない(辞書にない)
- 意味やニュアンスがすぐ変わる
- 使う人・文脈によっては侮辱・差別的になる
という不安定な性質を持っています。
🌍 スラング使用のメリット
✅ 1. 現地ユーザーとの距離を縮めやすい
たとえば:
- 英語圏で「fire」(=最高にクール)
- フランスで「chanmé」(逆さ言葉で“めちゃヤバい”の意)
- ブラジルで「topzera」(超イケてる)
正しく使えば「このブランド、ウチらをわかってる!」という親近感を得られます。
✅ 2. 拡散されやすい
SNSでは「言葉の面白さ=拡散のきっかけ」。
若者層はフォーマルな宣伝より“ノリ”の良さに反応します。
たとえば:
🎯 TikTokで「That’s cap(=ウソでしょ!?)」を入れた投稿がZ世代でバズる
🎯 韓国の「대박(テバク=スゴい)」をタイトルに使ったK-Beautyブランドが若年層に拡散
⚠️ スラング使用のリスクと失敗例
❌ 1. 意味の変化・地域差による“誤爆”
たとえば:
- 英語の “sick” は「最高!」という意味もあるが、国によっては単に「病気」
- “bunda”(ブラジルではお尻)を知らずに製品名に… → SNSで炎上
❌ 2. 企業が使うと「無理してる」感
Z世代はとても敏感です。
「それ、誰に言わされてんの?」
「おじさんブランドが若作りしてて痛い…」
という反応が広がることも。
❌ 3. 差別的な意味に転ぶケース
- 過去にはアジア系スラングを使ったことで「レイシスト」認定された欧米企業も。
- 黒人英語(AAVE)やLGBTQスラングの“文化の盗用”と批判された例もあります。
✅ どう判断する?「使っていいスラング」の条件
チェック項目 | 内容 |
---|---|
意味が安定しているか | 一般辞書やUrban Dictionaryなどで意味と文脈を複数確認 |
対象世代・文化の中で自然か | 実際に現地の人が使っているか?自社の声として違和感がないか? |
使う人の属性に問題がないか | 年齢・文化背景・ブランドのキャラとして不自然でないか? |
炎上リスクがないか | 歴史的・差別的な背景がないか、現地マーケターや翻訳者に要確認 |
🧭 おすすめの運用方法
▶ ローカルマーケターを介在させる
→ ネイティブかつ現地文化を理解した担当者が必須。
▶ 限定的に使い、様子を見る
→ いきなり広告やメインコピーに使うのではなく、まずはストーリーズやリールのサブテキストで試す。
▶ 投稿の前にネイティブレビューを
→ 翻訳者ではなく、現地マーケ担当か現地のSNSユーザーに確認してもらう。
📌 まとめ:スラングは“共感”と“炎上”の境界線
スラングを使うことで「距離を縮められる」反面、
一歩間違えば「ブランドイメージを損なう爆弾」にもなります。
🌐「ウケを狙うなら、その“文化”を本当に理解すること」
が前提。
✒️ 最後に:真のローカライズとは?
本当の意味でのローカライズとは、ただ言葉を訳すだけでなく、その土地の文化や空気感を理解すること。
スラングを使うなら、それが単なる「流行語」ではなく、その人たちにとってどういう意味を持つかを知るところから始めましょう。