Amazon FBA(Fulfillment by Amazon)は、オンライン販売者にとって強力なツールです。
商品をAmazonの倉庫に送るだけで、注文が入ったらAmazonがピッキング・パッキングし、最速で顧客に商品を届けてくれます。
この便利な仕組みの裏側には、高度なインバウンド物流システムが存在しています。
今回は、このインバウンド物流システムがどのように機能しているのか、そしてなぜ特定の州に納品してもAmazonが別の倉庫(フルフィルメントセンター:FC)へ商品を振り分けるのかについて詳しく見ていきましょう。
1. AmazonのFCネットワークとは?
Amazonは世界中に数百を超えるフルフィルメントセンター(FC)を展開しています。
これらのFCは、商品を効率的に保管し、迅速に発送するために戦略的に配置されています。
特に米国では、各地域に密に分布しており、顧客のいる場所に近いFCから商品を発送することで、配送時間を短縮し、顧客満足度を高めています。
米国全土にこれだけのFCがあるということは、たとえ販売者が一つの州に商品を納品しても、Amazonのアルゴリズムが最も効率的な保管場所を自動で選択し、商品を異なるFCへ振り分ける可能性が高いということです。
2. 特定の州に納品しても、なぜ別のFCへ振り分けられるのか?
商品の振り分けが行われる主な理由は、Amazonが配送効率と顧客体験の最適化を常に目指しているからです。以下の要素が影響しています:
(1) 需要予測
Amazonは過去のデータに基づいて、特定の商品がどの地域でどれくらい売れるかを予測しています。このデータに基づき、商品を最適なFCに配置することで、顧客に最短で届けられるように調整しています。例えば、商品をカリフォルニアのFCに納品しても、ニューヨークでの需要が高いと予測されれば、ニューヨークのFCに振り分けられることがあります。
(2) FCの在庫容量と回転率
各FCには限られたスペースしかありません。特定のFCで在庫が満杯になった場合や、別のFCでの在庫回転が早い場合、商品の振り分けが行われることがあります。これは、保管効率を最大化するための重要なポイントです。
(3) 配送コストの最小化
Amazonは配送コストの削減にも注力しています。顧客の近くに商品があることで、配送にかかるコストを抑えることができます。そのため、商品の納品後に異なる地域に振り分けることが、全体的なコスト削減に繋がる場合もあります。
(4) アルゴリズムの最適化
Amazonの物流システムは、AIとアルゴリズムによって支えられています。このアルゴリズムは、最も効率的な物流パターンをリアルタイムで計算し、商品の最適な配置場所を決定します。このため、特定の州に納品しても、実際の保管場所は変わることが多いのです。
3. 販売者への影響
販売者にとって、この仕組みはメリットもあれば、時には困惑することもあります。
メリット
- 顧客への迅速な配送:販売者がどこに商品を納品しても、Amazonが最適な場所に振り分けてくれるため、顧客への配送時間が短縮されます。
- 効率的な在庫管理:Amazonが保管場所を自動で調整するため、在庫の偏りや過剰在庫のリスクが減少します。
デメリット
- 追加の費用発生:販売者が特定のFCに商品を納品しても、他のFCへの振り分けによって追加の配送費用が発生する場合があります。
- 在庫追跡の難しさ:複数のFCに商品が分散されることで、販売者側で在庫を追跡するのが難しくなる場合があります。
4. インバウンド物流の最適化ポイント
FBAを利用する販売者として、このシステムを最大限に活用するためのポイントをいくつかご紹介します。
(1) 事前の需要予測
販売する商品がどの地域で需要が高いかを自ら分析し、適切な量を納品することが重要です。Amazonのアルゴリズムに頼るだけでなく、自社のデータ分析を活用して納品戦略を立てましょう。
(2) 発送計画の調整
Amazonでは、「配分配送」や「パレット配送」など、複数の配送オプションが用意されています。これらを利用して、効率的な納品方法を選択することが、コスト削減とスピード向上につながります。
(3) 納品先の分散
一箇所に大量の商品を納品するよりも、戦略的に複数のFCに分散して納品することで、振り分けコストを抑えることができます。また、これにより在庫リスクの分散にも繋がります。
まとめ
AmazonのFBAインバウンド物流システムは、顧客への迅速な配送を実現するために進化を続けています。
特定の州に納品しても、Amazonが別のFCに商品を振り分ける理由は、顧客体験の向上や配送効率の最適化にあります。
販売者としては、このシステムを理解し、自社の商品戦略と組み合わせることで、さらなる成長を目指すことが可能です。
物流コストの管理や需要予測をしっかり行い、Amazonのインフラを最大限に活用しましょう。