~「登録してる=売れる」ではない!?医療機器ビジネスの落とし穴~
アメリカ市場に医療機器を輸出しようとすると、まず耳にするのが「FDA登録」と「PMA(Premarket Approval)」。
「とりあえずFDA登録すれば販売できるんでしょ?」
――実はこの考え、非常に危険です。
この2つの違いを理解していないと、せっかくの製品もアメリカで“違法販売”扱いになってしまう可能性があります。
この記事では、医療機器業界でよくある誤解を解きながら、FDA登録とPMAの本質的な違いと、それぞれが必要なケースをわかりやすく解説します。
✅ そもそもFDA登録って何?
「FDA登録」は、アメリカ国内で医療機器などを販売するために必要な“施設情報の届け出”です。
▼ ポイント:
- 医療機器を製造・加工・包装・保管する施設は、FDAへの施設登録(Establishment Registration)が義務付けられています。
- 年1回の更新が必要(通常10〜12月に行う)
- 製品そのものの安全性や性能の審査は含まれていない
▶ つまり:
登録=「販売許可」ではない!
登録は、あくまで「私はこの施設で医療機器を扱っています」と名乗りを上げる手続きにすぎません。
✅ PMAとは何か?
PMA(Premarket Approval)は、FDAが行う医療機器の「事前承認制度」のこと。
これは日本で言えば「製造販売承認申請」に近いもので、製品の安全性・有効性を科学的根拠をもとに審査される非常に厳しいプロセスです。
▼ 特徴:
- Class III(リスクが最も高い医療機器)に対して適用される
- 臨床データ、治験結果、製品仕様など膨大な技術文書が必要
- 承認までに1〜2年以上かかることも珍しくない
▶ つまり:
PMA=「製品の性能・安全性をFDAが審査・承認する制度」
✅ 登録だけでOKな医療機器もある?
はい。すべての医療機器がPMAの対象になるわけではありません。
医療機器はFDAによって以下のように分類されており、クラスによって必要な手続きが異なります。
▼ 医療機器の分類と必要な手続き:
| クラス | リスクレベル | 例 | 必要な対応 |
|---|---|---|---|
| Class I | 低リスク | 体温計、手術用ガーゼなど | 施設登録 + 一般規制のみ(PMA不要) |
| Class II | 中リスク | 血圧計、歯科器具など | 施設登録 + 510(k)(事前通知) |
| Class III | 高リスク | 人工心臓弁、インプラント機器など | 施設登録 + PMA(事前承認) |
✅ よくある誤解と現場の失敗例
❌ よくある誤解:
「FDAに登録したから、すぐ販売できるはず」
→ 登録は施設の登録。製品ごとに510(k) や PMA の確認が必要!
⚠ 実際にあった失敗例:
ある日本企業がClass IIの医療機器をFDAに登録後、アメリカの展示会で販売活動を行ったところ、FDAから警告書(Warning Letter)を受けました。
理由は、「510(k)の提出・承認がなされていなかったため」。
→ 製品の「販売承認プロセス」が抜けていたのです。
✅ 違いをざっくりまとめると…
| 項目 | FDA登録 | PMA |
|---|---|---|
| 対象 | 施設(工場や企業) | 製品(医療機器) |
| 内容 | 届出による登録(審査なし) | 製品の厳格な事前審査 |
| 必要なケース | 全ての製造施設 | 主にClass III製品 |
| 所要時間 | 数日〜数週間 | 数か月〜数年 |
| 手数料 | 約6,500ドル前後(年1回) | 数万ドル以上+データ作成コスト |
✅ 結論:「登録」しても「売れる」とは限らない!
医療機器ビジネスで成功するためには、FDAの登録(Establishment Registration)と、製品の承認(PMAまたは510(k))を分けて理解することが不可欠です。
特にアメリカ市場では、規制への対応=信頼の証明。
正しい手順で進めることで、ビジネスチャンスを着実にものにできます。
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