「アメリカに売るなら品質管理だけで十分じゃないの?」
「まさか“ラベル”や“試験報告書”でトラブルに⁉」
そんな甘い考えで米国市場に製品を輸出すると、思わぬ落とし穴にハマる可能性があります。
それが「CPSC規制」です。
今回は、米国のCPSC(米国消費者製品安全委員会)が管理する規制について、初めて輸出する人にもわかりやすく解説します。
🔍 CPSCとは?
CPSC(Consumer Product Safety Commission)は、
消費者製品の安全性を監督する米国政府機関です。
対象となる製品は、子ども向け玩具から家庭用品、電子製品、衣類、スポーツ用品など広範囲にわたります。
一言でいうと、
「製品が人をケガさせたり、命を脅かしたりしないことを確認する“番人”」
です。
⚠️ 規制対象となる製品例
以下のような一般消費者向け製品は、CPSCの監視対象になります:
- 子ども向け玩具(例:ぬいぐるみ、ブロック、プラスチック製おもちゃ)
- 電気製品(例:小型家電、LEDライト)
- ベビー用品(例:ベビーベッド、歩行器)
- 衣類(例:子供用パジャマ、フード付きパーカー)
- スポーツ・レジャー用品(例:スケートボード、バーベル)
📄 CPSC規制の主なポイント
1️⃣ 製品の安全基準(CFRに準拠)
製品は米国連邦規則(CFR: Code of Federal Regulations)の基準を満たす必要があります。
例:
- 小児玩具 → ASTM F963準拠が義務
- 子ども用衣類 → 可燃性の規制(16 CFR Part 1610 など)
2️⃣ 試験・証明書の提出(CPC or GCC)
- Children’s Product Certificate(CPC)
→ 子ども用製品は第三者試験機関の検査+証明書の発行が義務 - General Certificate of Conformity(GCC)
→ 一般消費者製品にも適用されることあり
※これらがないと、輸入時に税関で止められるか、販売後にリコール対象となる恐れがあります。
3️⃣ ラベル・追跡情報の表示
- 製造者名・輸入者名
- 原産国(例:Made in Japan)
- 製造ロットや日付
- 子供向け製品には追跡ラベル(Tracking Label)の義務
🧠 よくある“やってしまいがち”なミス
ケース | 結果 |
---|---|
ASTM規格を知らずに玩具を輸出 | 米国税関で差し止め |
CPCが英語でなく、日本語で提出 | 受理されず返品に |
可燃性テストを省略した衣類 | CPSCからリコール命令 |
販売サイトに安全証明の記載なし | Amazonから出品停止処分 |
→「法律を破っていなくても、“提出すべき書類を忘れた”だけでNGになる」
というのが米国輸出の怖さです。
🧰 じゃあ、どう備えればいい?
✅ ステップ1:製品カテゴリの規制を調べる
→ CPSC公式サイト(https://www.cpsc.gov/)で検索
例:”toys”、”children’s clothing”などでガイドラインが出てきます
✅ ステップ2:第三者試験機関でのテストを依頼
→ CPSCに登録された公認機関で行うこと
→ 日本国内にもいくつか指定機関あり(例:SGS、Bureau Veritas等)
✅ ステップ3:CPCまたはGCCを作成し、保管
→ 輸出時・販売時に即提出できるよう準備
→ AmazonやWalmartなどECサイトでも提出が必須になる場合あり
📦 CPSC規制とECビジネスの関係
実は、CPSC規制は**「個人輸出」や「D2C・越境EC」**にも大きく影響します。
- Amazon.comでは「CPCの提出がない商品」は販売停止
- Shopifyで独自に売っていても、購入者が通報すればCPSCから調査される可能性あり
- TikTok ShopやTemuでも、安全性情報の表示は必須化の動き
つまり「小さく始めてもCPSCは無関係ではいられない」というのが今の現実。
✍️ まとめ:CPSCは“入国審査”のようなもの
米国市場は魅力的ですが、それゆえに安全基準は非常に厳しいです。
特に子ども向け製品に関しては、少しのミスで多額の罰金や販売停止のリスクも。
だからこそ、
✅ 製品の規制を知る
✅ 必要書類を用意する
✅ 記載ラベルも正しく
という3点を押さえておけば、安心して米国市場に挑めます!