〜あなたの製品、大丈夫?知らぬ間にEU市場から締め出される前に〜
EUへ製品を輸出するメーカーや商社にとって、無視できない存在なのが
「REACH規制」。
「化学物質なんて扱ってないから関係ない」
…と思っていませんか?
実は、日用品、電子機器、家具、衣料品など幅広い製品がこの規制の対象になる可能性があります。
本記事では、REACH規制の概要から、対象となる製品の特徴、企業が取るべき対策までを、
具体例・対策チェックリスト付きで解説します。
🧪 REACHとは何か?
REACHは、EUが2007年に施行した化学物質の包括的な規制法です。
REACH = Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals
つまり、化学物質の登録・評価・認可・制限を通じて、
人の健康と環境を守ることが目的です。
🎯 対象となる製品・物質の範囲
REACHは「化学品」そのものだけでなく、最終製品に含まれる化学物質も対象とします。
▼ 具体的な対象例:
製品カテゴリ | 規制の可能性がある理由 |
---|---|
衣料品 | 染料、防虫剤、難燃剤など |
革製品・靴 | 六価クロムや可塑剤 |
電子機器 | ハンダに含まれる鉛、難燃剤 |
プラスチック製品 | フタル酸エステル類など |
金属部品 | 表面処理剤に含まれる有害物質 |
✅ 規制の中心:SVHC(高懸念物質)
現在、300種類以上のSVHC(Substances of Very High Concern)が指定されています。
このリストは毎年見直され追加されます。
🛑 よくある違反事例
- 合皮バッグからフタル酸エステルが検出 → 販売禁止&リコール
- おもちゃの塗料から鉛 → EU税関で差し止め
- スマホケースから発がん性物質 → 販売業者に罰金
👉 輸出企業の「知らなかった」は通用しません!
🧭 企業が取るべき対策ポイント
1. 原材料の成分把握
「自社は最終製品だけ組立てているから関係ない」は危険です。
サプライヤーから原材料や部品の化学物質含有情報を確認しましょう。
📌 必要な情報収集方法:
- SDS(安全データシート)の取得
- サプライヤーへのREACH適合証明の要求
- 部品レベルの成分分析
2. SVHC含有量のチェックと通知義務
製品中にSVHCが0.1重量%を超えて含まれている場合:
- サプライチェーンへの通知義務
- 消費者からの請求があれば45日以内に情報提供
- ECHA(欧州化学品庁)への届け出(年1t超の場合)
📝英語通知例:
This product contains Bis(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP) at a concentration greater than 0.1% w/w.
3. REACH対応済みの部品・材料選定
製品設計段階から、REACH非該当または適合済みの材料を選ぶことで、
後からの対応コストを抑えることができます。
4. 定期的な規制リストのチェック
SVHCリストや制限物質リストは半年に1回程度更新されるため、常に最新の情報に注意しましょう。
🧰 チェックリスト:REACH対策の自己診断
✅ チェック項目 | 対応状況 |
---|---|
使用材料のSDSを全て取得済みか | Yes / No |
サプライヤーにREACH適合証明を依頼しているか | Yes / No |
自社製品のSVHC含有有無を把握しているか | Yes / No |
消費者からの情報請求に対応できる体制か | Yes / No |
定期的に規制リストをチェックしているか | Yes / No |
✍️ まとめ:REACH対応はコストではなく「信頼投資」
REACHは複雑でやっかいな規制ではありますが、
逆に言えば「きちんと対応している企業こそ信頼され、選ばれる時代」です。
欧州だけでなく、今後アジアや北米でも類似の規制が拡大していく流れにあります。
だからこそ、いまから全社的な「化学物質管理体制」を整えることが、
持続的な輸出ビジネスの鍵となるでしょう。