~賢く使えば関税がゼロに?貿易コストを削減する鍵~
海外との取引を進めるうえで避けて通れないのが「関税」。
でも実は、国同士が結んでいるFTAやEPAをうまく活用すれば、その関税がゼロになることもあるんです。
でも「FTAとEPAって何が違うの?」「うちの取引に使えるの?」という声も多いのが実情。
この記事では、FTAとEPAの違い、そして実務での具体的な活用法について、やさしく解説します!
■ そもそもFTAとEPAって何?
FTA(Free Trade Agreement)とEPA(Economic Partnership Agreement)は、どちらも2国間または複数国間で「貿易を自由化しよう」という国際的な協定です。
簡単にいえば:
- FTA:関税の削減・撤廃がメインの協定
- EPA:関税だけでなく、投資・知的財産・人の移動など経済全体の連携を含む協定
つまり、EPAの方がFTAよりも包括的な内容になっています。
たとえば日本が締結している代表的な協定には:
協定名 | 対象国・地域 | タイプ |
---|---|---|
日・ASEAN EPA | 東南アジア諸国 | EPA |
日EU EPA | EU加盟国 | EPA |
日・メキシコEPA | メキシコ | EPA |
RCEP(東アジア地域包括的経済連携) | ASEAN+日中韓豪NZ | FTA的要素強めのEPA |
■ 実際に何が“お得”なの?
最大のメリットは、「関税削減または免除」。
たとえば、通常5%の関税がかかる輸入品でも、協定を活用すれば0%で通関できることがあります。輸入コストを大きく下げられるため、価格競争力がアップ!
また、以下のような効果も期待できます:
- ✨ 輸出時に現地の輸入関税が減り、バイヤーに喜ばれる
- ✨ 特恵税率の活用で粗利が改善
- ✨ EPA活用がCSR(持続可能な貿易姿勢)として評価されることも
■ 活用するには「原産地証明書」がカギ!
FTA/EPAを活用するには、対象貨物が協定に基づいた「原産品」であることを証明する必要があります。
多くの場合、「原産地証明書(CO)」の提出が求められます。自社が製造した製品であっても、部品の原産地により認定が通らないケースもあるため、事前の確認が重要です。
最近では「自己申告制度」も導入され、企業側が自主的に原産性を証明できる国・協定も増えています(例:日EU EPA)。
■ よくある誤解と注意点
- ×「どんな商品でも関税ゼロになる」 → 商品ごとに協定品目に該当する必要あり
- ×「どの国との取引にも使える」 → 協定を締結していない国は対象外
- ×「一度証明書を取れば使い回せる」 → 輸出ごとに発行が基本(または期間限定)
■ 実務担当者のチェックポイント
☑ 自社の輸出入品目がどの協定で関税メリットがあるか調べる
☑ 仕入先や製造工程を確認し、原産地ルールを満たしているか精査する
☑ 原産地証明書の取得ルール・申請方法を理解しておく
☑ 税関や商工会議所に早めに相談することでスムーズな申請が可能
■ まとめ:FTA/EPAを使いこなせば、コストと信頼をダブルで獲得!
貿易の世界では、ちょっとした知識の有無が大きな差を生みます。FTA/EPAは、単なる“お得制度”ではなく、「国際的な信頼構築のツール」としても機能します。
最初は手続きが少し難しく感じるかもしれませんが、一度流れを作ってしまえば、毎回の輸出入が驚くほどスムーズに。
「関税を削減したい」「価格競争力を上げたい」――そんな方は、FTA・EPAの活用をぜひご検討ください!