〜コスト・リードタイム・リスクの視点から解説〜
海外との取引が活発になると、必ず登場する「FCL(コンテナ輸送)」と「LCL(混載便)」という2つの海上輸送方法。どちらを選ぶべきかは、単に貨物量だけでなく、コスト、納期、リスクなど様々な要素で判断する必要があります。
本記事では、貿易実務に役立つ観点からFCLとLCLの違いをわかりやすく比較し、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します!
■ FCL(Full Container Load)とは?
FCLとは、1つのコンテナを“1社”でまるごと借り切って使う輸送方法のこと。
- 主な特徴:
- 20ftや40ftコンテナを単独で使用
- 自社貨物だけを積載
- 他社との混載がないためセキュリティ面で安心
■ LCL(Less than Container Load)とは?
一方、LCLとは「コンテナのスペースを複数の荷主でシェア」する輸送方法です。貨物量が少なく、コンテナを丸々使わないときに選ばれるのがこの方法。
- 主な特徴:
- 他社の貨物と混載
- 小ロット輸出入に適している
- 倉庫で仕分けや再梱包が必要なケースもある
■ FCLとLCLの比較表
項目 | FCL(コンテナ輸送) | LCL(混載便) |
---|---|---|
貨物量 | 中〜大ロット向き | 小ロット向き |
コスト構成 | コンテナ単位(固定費) | 容積・重量に応じた従量課金 |
輸送スピード | 速い(直行便も多い) | 遅い(混載・仕分けに時間) |
搬入作業 | 自社で積載・荷卸し可能 | 混載業者の倉庫経由 |
損傷・紛失リスク | 少ない | 他社貨物の影響を受けやすい |
通関手続き | 単独で可 | 他社貨物の書類と同時処理 |
■ 実際の選び方:こんなときはFCL、こんなときはLCL
- ✅ FCLが向いているケース:
- 貨物が15m³以上ある
- 壊れやすいもの、衛生管理が必要なもの
- 納期が厳しく遅延リスクを減らしたい
- 送料のコストパフォーマンスを重視したい
- ✅ LCLが向いているケース:
- 月間出荷数が少ない
- 試験出荷やサンプル送付
- 初回の輸出入で予算を抑えたい
- 他の貨物との混載による多少の納期ブレを許容できる
■ 貿易実務者のひとことアドバイス
LCLは柔軟性が高く便利な反面、「他社貨物との調整・書類ミス・仕分け遅延」などで思わぬコストや時間がかかることも。LCL便の経験が浅い業者を使うと、トラブルになるケースも見受けられます。
FCLは「高い」と思われがちですが、ある程度の貨物量になれば実はコスト効率が良く、総合的にはお得になることも。
■ まとめ:貨物量だけでなく“トータルコスト”で選ぼう
輸送方法を選ぶときは、単に送料だけでなく、「時間・通関リスク・荷扱い」なども含めたトータルコストで比較するのが鉄則です。
最適な輸送モードを選ぶことは、貿易ビジネスの安定運営に大きく貢献します。出荷前の段階で、FCL・LCLどちらが適しているかを一度見直してみましょう。