― 製造は完璧でも「運び方」で止められる理由 ―
「製造も表示も問題なし。書類も揃っている。」
それでも、米国の港で貨物が止まることがあります。
原因は――
輸送中のFDA違反。
実はFDA規制において、
“製品が工場を出た後”の管理は想像以上に重要です。
この記事では、輸送中に発生しやすいFDA違反リスクと、その対策を解説します。
FDAが見ているのは「製造」だけではない
FDA(Food and Drug Administration)は、
製造工程だけでなく、以下すべてを一連の管理プロセスとして見ています。
- 製造
- 保管
- 輸送
- 通関
- 米国内流通
つまり、輸送中のトラブルもFDA違反になり得るのです。
輸送中に多いFDA違反リスク5選
① 温度管理不備(Temperature Excursion)
食品、医療機器、化粧品の多くは、
一定温度の維持が求められます。
- 冷蔵品が常温輸送されていた
- コンテナ内温度の記録がない
- 想定外の港湾滞留による温度逸脱
👉 FDAから「品質保証不可」と判断される可能性があります。
② パッケージ破損・汚損
輸送中の振動や積み替えで、
- 箱が潰れている
- 内容物が露出
- 水濡れ・異物付着
といった状態になると、
Adulterated(汚染・不良品)扱いされることがあります。
③ ラベル・表示の不一致
輸送中に貼付されるラベルや書類が、
- 登録情報と不一致
- 英語表記の誤り
- ロット番号・有効期限の欠落
となっていると、Misbranding(表示違反)の対象になります。
④ 輸送記録・トレーサビリティ不足
FDAは「いつ・どこで・どう運ばれたか」を重視します。
- 輸送記録が残っていない
- 温度ログが提出できない
- 途中業者が不明確
👉 FSVPやcGMP違反 として指摘されることもあります。
⑤ 通関待ち中の管理不備
意外と多いのが、港・空港での滞留中トラブルです。
- 炎天下の屋外保管
- 冷蔵設備のない倉庫
- 滞留期間の長期化
製品自体に問題がなくても、
「管理できていない」と判断されれば違反になります。
違反が起きた場合の影響
輸送中のFDA違反が疑われると、以下の事態が発生します。
- Import Alert(輸入警告)対象
- 貨物の保留・差止(Detention)
- 廃棄または返送命令
- 米国取引先からの信用低下
一度Import Alertに載ると、
その後の輸出が極めて困難になります。
今すぐできるリスク対策
✔ 輸送条件を書面で明確化
- 温度帯
- 最大輸送時間
- 想定外対応(遅延・滞留)
✔ ログと証跡を残す
- 温度ロガー
- 輸送記録
- 写真記録
👉 「説明できる状態」を作ることが重要です。
✔ 業者任せにしない
フォワーダーや倉庫業者に任せきりにせず、
- FDA規制を理解しているか
- 緊急時の連絡体制
を必ず確認しましょう。
輸送は「最後の品質管理工程」
FDAにとって輸送は、
製造の延長線上にある重要工程です。
どれだけ製造が完璧でも、
運び方を誤れば、その瞬間に違反になります。
米国向けビジネスを安定して続けるために、
ぜひ一度、自社の輸送プロセスを見直してみてください。
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