—“できる”と“危険”の境界線をプロ目線で解説
アメリカ市場に製品を展開しようとすると、必ずぶつかるのが FDA登録。
食品、サプリメント、化粧品、医療機器…
カテゴリによって必要な手続きはまったく異なり、初めての企業は必ずと言っていいほど戸惑います。
では、FDA登録は自力でできるのか?
それとも、専門家に頼まないと危険なのか?
今回は、実際に現場で起きているトラブルや、多くの企業がハマる“見えない落とし穴”を踏まえて、専門家の視点で分かりやすく解説します。
🧭 結論:できる部分はある。でも「正しくできる」とは限らない。
FDAの手続きの中には、企業自身が対応できるものもあります。
- 食品施設登録(Food Facility Registration)
- 化粧品の施設登録(MoCRAによる新制度)
- 医療機器のユーザー登録(単純な更新作業)
これらはフォーム入力が中心なので、
表面上は“自力でもできるように見える” のがポイント。
ところが——
最も重要な部分は『入力そのもの』ではなく『入力内容が正しいか』 です。
⚠ 自力でやると特に危険なポイント
① 分類(Product Classification)がそもそも誤っているケースが多い
- 化粧品 → 実際は医薬品扱い
- サプリ → 実は食品扱い
- 美容デバイス → 医療機器に分類
- 雑貨 → 実は高度管理医療機器に該当
FDAでは 分類を間違えると、以後のすべての手続きが無効 になります。
入力ができても、そもそも“何として提出すべきか” を判断できなければ、意味がありません。
② ラベル要件を見落としがち(輸入差し止めの常連)
FDAでは、ラベル規制が驚くほど細かいです。
- 表示名(Statement of Identity)
- 使用方法の格式
- 成分の順序
- アレルゲン表示
- 原産国表示の位置
- claims の可否(医薬品扱いになる表現の排除)
特に「英語に訳しただけ」や「日本と同じ感覚でデザインした」ラベルは
ほぼ100%どこかが基準に抵触します。
ラベル違反 → 最も多い輸入差し止め理由です。
③ 法令が頻繁にアップデートされる
近年は特に更新が激しく、
- MoCRA(化粧品の大規模規制改革)
- FSVP(輸入業者の食品安全プログラム)
- 医療機器のUDI要件
- サプリの構造機能表示の警告強化
など、専門家でも常に勉強が必要なレベルでルールが変わります。
独学では気づかずに古いルールで登録してしまう“タイムラグ事故”が起こりがち。
④ 英語の法令文書は専門用語だらけで読み解けない
“FDA英語”は一般のビジネス英語とは別物。
- compliance
- adulteration(不良品扱い)
- misbranding(表示違反)
- registration vs. listing の違い
- permissible claims
誤訳したまま提出してしまうと、
意図せず医薬品扱いの表現になってしまうことも珍しくありません。
⑤ 不備があっても FDAは「教えてくれない」
もっとも危険なのがこれ。
FDAは 誤りがあっても丁寧に指摘してくれるわけではありません。
代わりに起こるのは——
- 無言で輸入差し止め
- Warning Letter(公開の指摘)
- 必要な資料を追加要求 → 何週間も遅延
- “不明確な理由”で返送・廃棄処分
特に輸入差し止めは、
一度引っかかると次回以降の審査が極めて厳格になるため、長期的なダメージになります。
🧩 では、専門家は何をしてくれるのか?
専門家に依頼するメリットは「手続きを代行する」だけではありません。
✔ 製品分類の正確な判断
✔ 必要な手続きのフルセットを整理
✔ ラベル・パッケージのコンプライアンスチェック
✔ claims(広告表現)の調整
✔ 工場側とのコミュニケーション(GMP対応確認)
✔ 書類の整合性チェック
✔ 更新期限の管理(毎年の登録期限など)
特にアメリカ向けは、
“手続きできるか”より“ミスなくできるか”が圧倒的に重要です。
🌟 まとめ:自力でできる部分もあるが、「正解にたどり着く」には専門家が必要
- 入力作業だけなら自力でもできる
- でも、分類・ラベル・法規制の解釈が最も難しい
- 輸入差し止めや警告レターは「自力登録組」がほとんど
- 正しく対応するには、FDA専門家のチェックが極めて有効
アメリカ市場は巨大ですが、
FDAの基礎を理解していないと簡単につまずきます。
逆に、正しく対応すれば競合が多い市場でも大きなチャンスを掴めます。
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