― 税関が“同じモノ”と認める瞬間・認めない瞬間 ―
海外取引が日常になった今、物販ビジネスに関わる人なら一度は直面するテーマがあります。
「返品された商品って、再輸入免税になるの?」
「これ、同じ商品だと証明できない場合はどうなる?」
そこで浮上するのが、“同一性の証明”という壁。
この記事では、税関の判断基準をわかりやすく解説しつつ、
“証明困難な商品は免税ができないのか?”
“どうすれば認められやすくなるのか?”
この2つを深掘りしていきます。
◆ 再輸入免税に必須の条件
まず押さえておきたいのは、再輸入免税の前提です。
税関が免税を認めるためには、
「その商品が日本から輸出された“同じモノ”であること」
を確認できなければいけません。
つまり、
- 同一性
- 状態の一致
- 目的の一致(修理・返品・展示など)
この3つが揃って初めて免税が成立します。
逆に言えば、
“証明できなければ免税は通らない”
ということです。
◆ “同一性の証明が難しい製品”とは?
税関が判断に迷う製品には、共通点があります。
● アパレル(服・靴・帽子など)
シリアル番号がない。
型番があっても、同じデザインは何万点と存在。
● バッグ・財布などの革小物
同型商品が大量に出回っており、経年変化や傷で状態が変わりやすい。
● 食品・日用品
個体識別が不可能。
● 多数のパーツで構成される製品
分解や交換が可能なため「完全一致」の判断がしづらい。
こうした製品は、
見た目・型番だけでは“輸出されたものと同じ”とは証明できません。
◆ では、証明ができないと免税は不可能なのか?
結論から言うと――
“不可能ではないが、非常にハードルが高い”。
税関は、輸入者が提出する「証拠」を総合的に判断します。
例えば、次のような資料が揃っていれば、同一性が認められるケースもあります。
- 輸出時のインボイス
- 輸出許可書
- 製品の細かな写真(タグ・傷・特徴的な部分)
- 海外での販売記録
- 返品の証拠(顧客からの返送ラベルなど)
ただし、
シリアル番号がない製品はそもそも識別が難しいため、認められないケースのほうが多い
というのが実務上のリアル。
税関は“証拠不十分”と判断すれば、通常の輸入として扱います。
◆ なぜ税関はそこまで厳しいのか?
理由はシンプルです。
もし証明が曖昧でも免税を許してしまえば、
新品を海外で買って“返品扱い”で免税輸入する抜け道
が生まれてしまうから。
税関は“国家の税収”を守る立場でもあり、
もともと輸出していない製品に免税を適用しないのは当然の判断といえます。
◆ 実務上どうなる?現場で起きていること
通関士や輸入ビジネス実務者がよく語るのが次の話です。
- 返品商品なのに、同一性証明ができず課税されてしまった
- タグや箱を捨ててしまったせいで免税不可になった
- 中古アパレルはほぼ“別物扱い”で免税されない
逆に、
- 家電・カメラなどのシリアル機器は証明しやすく、免税通過率が高い
という傾向もあります。
つまり、
商品ジャンルによって免税の難易度が大きく変わる
というわけです。
◆ 免税を受けるために、輸出者ができる対策
もしあなたが返品リスクのある物販ビジネスに携わっているなら、
次の対策は必須です。
✔ 1. 輸出時点の「証拠」を必ず残す
インボイス
輸出許可書
外観写真(特徴がわかるもの)
バイヤーとの販売記録
✔ 2. 個体識別できる商品だけを優先する
シリアル番号商品(家電・カメラ・時計など)は有利。
✔ 3. アパレル・雑貨系は“免税期待ゼロ”で利益計算する
無理に期待すると赤字化する。
✔ 4. 返品されても“課税される前提”でコスト設計する
リスクヘッジとして非常に重要。
◆ まとめ:
同一性の証明が困難な製品は、原則として再輸入免税のハードルが非常に高い。
税関は「確実に同じ製品」と判断できない限り免税を認めません。
ただし、
証拠を揃えることで免税が通るケースもあるため、
輸出者がどれだけ“証明力のある資料”を確保できるかが鍵です。
物販ビジネスでは、
商品そのものよりも“証明できるかどうか”が利益を左右する場面が増えています。
適切な準備をしておくことで、不要な課税リスクを避けることができるのです。
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