― 登録しただけでは売れない、FDA制度の“もう一枚の地図” ―
アメリカ市場に医薬品、医療機器、食品、化粧品などを輸出する際、企業が必ず直面するのが
「FDA Facility Registration(施設登録)」 と 「Product Listing(製品リスティング)」。
この2つ、名前が似ているので混同しやすいですが、
実は目的も内容もまったく違います。
Facility Registrationが「どこで作っているか」をFDAに知らせる届出なら、
Product Listingは「何を作っているか」をFDAに知らせる届出です。
🧭1. Product Listingとは何か?
FDA Product Listing(製品リスティング) とは、
FDAに対して「自社が製造・販売している製品の情報」を登録する制度です。
具体的には、次のような情報をFDAデータベースに届け出ます👇
- 製品名(Product Name)
- 有効成分・含有量
- 剤形(例:tablet、solution、creamなど)
- 容器・包装情報
- 販売者(Labeler)情報
- 使用目的やカテゴリー
- 製造・包装を行う施設情報(Facility Registration番号とリンク)
つまり、Facility RegistrationとProduct Listingはセットで管理されるのです。
⚙️2. 登録の目的 ― FDAの「市場マップ」を作るため
FDAはProduct Listingを通じて、アメリカ市場に存在するすべての製品の「全体像」を把握しています。
たとえば:
- どんな医薬品が市場に流通しているのか
- どの会社がどの製品を製造しているのか
- 問題製品が見つかったとき、どの施設が関与しているのか
つまりProduct Listingは、FDAの市場監視の“地図”のようなもの。
だからこそ、正確で最新の情報を届け出ることが求められます。
⚖️3. 対象となる業界と製品
業界ごとに少しルールが異なります👇
| 分野 | 登録が必要なケース | 備考 |
|---|---|---|
| 💊 医薬品(Drugs) | 市販薬・処方薬ともに必要(自社ブランドでも) | 上市前に登録必須。毎年更新あり。 |
| 🩺 医療機器(Devices) | FDA分類でClass II以上(原則510(k)対象) | 製造業者、販売業者ともに要登録。 |
| 🍪 食品(Foods) | 一部製品でFURLSシステム登録 | 製品というより施設登録が中心。 |
| 💄 化粧品(Cosmetics) | 2023年のMoCRA法以降、義務化 | 成分情報とラベル内容の提出が必要。 |
🚫4. 「登録=承認」ではない!
ここが最もよくある誤解ポイント。
Product Listingは“承認”ではなく、“届出”です。
FDAは、リスティング情報を受け取ってもその内容を事前審査しません。
つまり、リスティングした製品がFDAの品質基準を満たしているとは限らないのです。
実際、FDAの公式サイトには次のように明記されています:
“Listing of a product does not denote FDA approval of the product.”
登録しているだけで「FDA承認製品」などと宣伝すれば、虚偽表示(misbranding)として違反になります。
📅5. 登録・更新のタイミング
製品リスティングは初回登録+毎年更新が基本です。
- 初回登録:
製品をアメリカ市場に出す前にFDAデータベースに登録。 - 更新(Annual Renewal):
毎年12月までに情報を更新。変更がない場合も「変更なし報告」が必要。
更新を怠ると、FDAデータベース上で製品が「Inactive(無効)」になり、
輸入・販売が差し止められる可能性があります。
🔍6. リスティング番号(NDC / Listing Number)の違い
業界によって「リスティング番号」の形式も異なります👇
| 分野 | 番号形式 | 内容 |
|---|---|---|
| 医薬品 | NDC(National Drug Code) | 製品と企業を識別する10桁 or 11桁コード |
| 医療機器 | Device Listing Number | 510(k)やPMAと紐付けられるユニークID |
| 化粧品 | Cosmetic Product Listing Number(MoCRA以降) | 登録時にFDAが自動付与 |
この番号は「FDAが製品をデータベース上で管理するためのID」であり、品質認証や承認番号ではありません。
🧠7. よくある誤解とトラブル事例
| 誤解 | 実際の意味 | トラブル例 |
|---|---|---|
| 「リスティングした=承認済み」 | 承認ではなく届出 | 「FDA認可製品」と誤記し警告書(Warning Letter)を受領 |
| 「更新しなくても販売できる」 | 年次更新義務あり | 輸入時にFDA hold(保留) |
| 「OEMが登録しているからOK」 | ブランド販売者自身も登録義務 | 製造者任せで違反になるケース多発 |
💡8. 登録は“ゴール”ではなく“信頼のスタート”
Product Listingは、FDAにとっては「市場を把握するためのデータ」、
企業にとっては「透明性と責任を示すための証」。
正確なリスティングは、
- FDAからの信頼
- 通関の円滑化
- トレーサビリティ対応
につながります。
逆に誤った情報を登録したままだと、
違反製品の一員としてリコールリストに載るリスクさえあります。
✍️まとめ:FDAとの信頼関係は“正確な情報”から
Facility Registration = 「どこで作るか」
Product Listing = 「何を作るか」
この2つはFDA対応の基本セット。
どちらか一方が欠けていると、あなたの製品はアメリカ市場で存在しないものとして扱われます。
「登録=承認」ではなく、
「登録=責任を明確にする第一歩」。
それが、FDA Product Listingの本当の意味です。
※本記事の情報は執筆日時点のものです。今後サービス内容や料金等が変更される可能性がありますので、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
ご希望のサービスを選択いただくことで、適切なサービス・お問合せページへとご案内いたします。
- ご希望のサービスについて
- どのようなサービスをご希望ですか。



Japanese Yen Exchange Rate
