2025年に入ってからアメリカの貿易政策が大きく動いています。
アメリカは「国家緊急事態への対応」という名目であらゆる国からの輸入品に新たな関税(Tariffs)を課すことを決定しました。
今回はその概要を整理しつつ、日本からアメリカへ商品を送るビジネスや、個人での海外通販がどう影響を受けるのかを分かりやすくまとめてみます。
1. 新しい「IEEPA関税」とは?
アメリカ大統領は「国際緊急経済権限法(IEEPA)」を根拠に、追加関税を発動しました。
ポイントは以下の通りです:
- 2025年4月5日から:すべての国からの輸入に対し、10%の関税(IEEPA “reciprocal” tariff) を課す。
- 一部例外(寄付品、情報資料、医薬品、半導体、スマホなど)は免除。
- カナダ・メキシコは一見優遇されているように見えますが、「オピオイド対策関税」として25〜35%が課税。
つまり「ほぼ全世界が対象」となる追加関税が走り出したわけです。
2. 国別に異なる追加課税
さらにややこしいのが国別の扱いです。
- ブラジル製品 → 2025年8月6日から 40%の追加関税
- タイ(19%)・南アフリカ(30%)など → 国別に異なる「調整済み関税率」が適用
- 中国・香港・マカオ → 一時的に10%のまま据え置き。ただし「オピオイド関税」20%や他の追加関税と重複課税あり
つまり「どの国から送るか」ではなく「どの国で作られたか(原産国)」が決定的に重要になるという点がポイントです。
3. De Minimis(免税枠)の大改正
これまでは「800ドル以下なら免税」というルール(De Minimis)が、越境ECにおいて非常に便利でした。
しかし、ここに大ナタが振るわれます。
- 2025年5月2日から:中国・香港製の商品は免税対象外
- 2025年8月29日から:免税枠そのものがほぼ撤廃
- 個人間の「贈り物」なら100ドルまでは免税(ただし条件あり)
- それ以外はすべて関税+通関手続き必須
これは個人輸入ユーザーや越境EC事業者にとって、かなり大きな痛手になるでしょう。
4. 影響は?
- 個人輸入・海外通販ユーザー
→ 「気軽に海外サイトから買う」時代は終わりに近づいているかもしれません。 - 日本の越境EC事業者
→ アメリカ向けの販売コストが上がり、商品価格や配送戦略を見直す必要あり。 - 物流・貿易業界
→ 納期の遅延、コストの上昇、そして「通関知識の重要性」が増す。
まとめ
2025年はアメリカの貿易ルールが大きく変わる転換点になりそうです。
「免税で気軽に海外通販」という流れは過去のものとなり、輸入者・販売者ともに「関税・通関コスト」を計算に入れた戦略が欠かせなくなります。
今後、DHLやFedExなど大手物流会社からのアップデートをこまめにチェックし、事前に対応策を練ることが、国際ビジネスを続ける上で不可欠になりそうです。
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