海外から商品を仕入れて販売するビジネスにおいて、「インボイスに仕入れ価格を書いたけど、それって過少申告にならない?」という疑問は非常によく聞かれます。
実際、税関での価格申告ミスは関税追徴や商品差し止めなどのリスクに直結します。この記事では、仕入れ価格と過少申告の関係について、実例とともにわかりやすく解説します。
過少申告とは?
過少申告とは、輸入時に実際よりも低い価格で申告をし、課税額を少なくしようとする行為です。これは税関にとって重大な違反と見なされ、次のような罰則の対象になります:
- 関税・消費税の追徴課税
- 過少申告加算税・延滞税
- 最悪の場合は刑事告発やブラックリスト登録
仕入れ価格=申告価格で問題ないのか?
基本的には、実際に支払った価格=仕入れ価格であれば問題ありません。
ただし、それが「第三者との独立した取引」であり、「適正な市場価格」である必要があります。
✅ 正しい仕入れ価格の例:
- 海外の取引先から商品を購入し、支払った実額がインボイスに記載されている
- 値引きがあっても、その条件や理由が明確に記録されている
❌ 過少申告とみなされるリスクがあるケース:
- 実際より大幅に安く価格を記載している(例:実際は$500なのに$100で記載)
- 関係会社からの仕入れで相場から大きく乖離している価格
- ギフト扱いやサンプル品として虚偽申告している
関税評価の基本:CIF価格とは?
税関が課税価格を判断する際は、CIF価格(Cost + Insurance + Freight)が基準になります。つまり、商品代金に加えて送料や保険料も含めた金額が関税評価額になります。
したがって、仮に仕入れ価格が正しくても、送料や保険料を除いて申告してしまうと過少申告とみなされる可能性があります。
税関はどうやって過少申告を見抜く?
税関は以下の方法で価格の妥当性をチェックしています:
- 同じ商品を他の業者がいくらで申告しているか(照合)
- 過去の申告履歴
- 市場価格や通関データベースとの比較
- 必要に応じて追加書類の提出を求める(契約書、請求書、送金証明など)
対策:正しい価格申告のポイント
- 正規のインボイスを用意する
→ 取引先と合意した価格を明記し、割引やキャンペーンがある場合は備考欄に理由を記載。 - 送料・保険料を含めて申告する
→ 輸入者負担の費用もCIFに加える。 - 価格の根拠を説明できるように準備
→ 契約書、PayPal決済履歴、銀行送金明細などの証拠書類を残しておく。 - 相場より極端に安い場合は事前相談
→ 税関に事前教示を依頼することも可能。
まとめ:仕入れ価格を正しく申告して安心な輸入ビジネスを
輸入時の価格申告は、「バレなければOK」という話ではありません。
税関は豊富なデータと経験から不自然な価格を見抜く力を持っています。
仕入れ価格をそのまま記載して問題ないかどうかは、その価格が正当な取引に基づくものか、そしてCIF価格として正確に反映されているかがポイントです。
トラブルを未然に防ぎ、長期的に健全な輸入ビジネスを展開するためにも、正しい申告を心がけましょう。