2025年7月30日、アメリカのトランプ大統領が「少額輸入品に対する関税免除措置(通称:デミニミス)」を停止する大統領令に署名したという報道が注目を集めています。
一見すると専門的で難しそうな話題ですが、実は私たちの身近なネットショッピングや国際物流にも影響が及ぶ可能性がある重要なトピックです。今回は、この「デミニミス」制度とは何か、そして今回の動きが意味するものについて、やさしく解説してみたいと思います。
デミニミス制度とは?
「デミニミス(De Minimis)」は、ラテン語の “De minimis non curat lex” ――「法律は些細なことには関与しない」に由来する言葉です。
貿易の世界では、「ある一定以下の金額の商品には関税や税金を課さない」というルールを指します。アメリカでは、800ドル以下の輸入品については、個人向けに限り関税を免除する「デミニミス制度」が適用されてきました。
たとえば、海外のオンラインショップで100ドルの靴を購入した場合、通常は関税がかかるはずですが、デミニミスの枠内であれば免除される――そんな仕組みです。
なぜ今回、制度が見直されたのか?
今回の措置の背景には、国内産業の保護と不公平な貿易慣行への対抗という、アメリカの通商政策の基本的な方針があります。
この制度を利用し、海外から大量の安価な商品がアメリカに関税なしで流入しているとの指摘がありました。特に、一部の国からの出荷品が「少額」であることを理由に規制を回避しているとの懸念が高まっていたようです。
トランプ大統領はこの制度がアメリカ国内の製造業や小売業に不利に働いているとして、今回の見直しに踏み切ったとされています。
消費者にとっての影響は?
この制度の変更によって、今後は海外通販を利用する際に関税がかかるケースが増える可能性があります。
たとえば、アジア圏のネットショップや、アメリカ国外のマーケットプレイスで商品を購入しているユーザーにとっては、価格が実質的に値上がりすることになります。
ただし、まだ制度の詳細や運用基準は今後調整される見通しであり、どこまでの範囲で適用されるのか注視が必要です。
経済全体への影響は?
この措置は一見小さな技術的変更のように見えますが、国際物流、eコマース、小売流通など幅広い業界に波及します。
アメリカへの輸出を行っている企業や、越境EC(国境を越えた電子商取引)を展開する企業は、コスト構造の見直しを迫られるかもしれません。また、物流業界では通関手続きの増加などが予想され、業務効率にも影響が出ると見る専門家もいます。
最後に:制度の見直しは「時代の鏡」
「デミニミス制度」の変更は、一国の関税制度にとどまらず、国際経済の動きや政治的な駆け引きの一端を垣間見る手がかりでもあります。
今後もこうした貿易政策の動きに注目しつつ、自分たちの生活にどのような形で影響があるかを冷静に見つめていくことが求められそうです。
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