〜スムーズな国際取引のために知っておくべき基礎知識〜
貿易実務に携わる中で、「原産地証明書(Certificate of Origin:CO)」の提出を求められたことはありませんか?
これは、輸出する製品が「どの国で生産されたか」を証明する重要な書類であり、輸入国の関税優遇措置(FTAやEPA)を受ける際や、輸入国の法律・規則に従うために不可欠です。
今回は、COの基本的な取得方法と、実務上の注意点をわかりやすく解説します。
■ 原産地証明書(CO)とは?
CO(Certificate of Origin)は、「その製品がどの国で生産されたか」を公式に証明する書類です。以下のような場面で必要になります:
- 関税の減免を受けるため(FTA・EPA適用)
- 輸入国の輸入規制に対応するため(例:特定国原産品の禁止・制限)
- 信頼性を示すため(バイヤーからの要請)
■ COの主な種類
- 一般原産地証明書(Non-preferential CO)
▶ 各国で共通して使われる「一般的な証明書」 - 特恵原産地証明書(Preferential CO)
▶ FTA/EPA等に基づき関税優遇を受ける際に使用される - 自己証明型(自己申告書)
▶ 日本-欧州EPAやRCEPなど、一部協定では輸出者自身が証明書を発行できるケースも
■ 原産地証明書の取得方法(日本国内)
① 商工会議所での発行(最も一般的)
多くの場合、日本商工会議所が窓口となります。以下の手順で取得が可能です:
- 会員登録(または非会員でも申請可)
- 事前審査書類の提出(原産地の根拠となる資料)
- 原産地証明書の申請書を作成
- オンラインまたは窓口で申請
- 証明書を受け取り(通常は即日~数営業日)
② 自己証明制度(EPA等)
例えば日EU・EPAでは、特定条件を満たした輸出者は「登録輸出者(REX)」として自己証明が可能です。経済産業省に登録が必要です。
③ 税関からの発行(特定用途のみ)
日本の税関から発行されるCOもありますが、用途が限定されており一般的な商取引では利用されません。
■ CO取得の注意点
1.「原産地」の定義は国や協定ごとに異なる
例えば、「加工のみ」では原産と見なされない場合も。関税分類変更基準(CTC)、付加価値基準(VC)など各協定のルールを確認しましょう。
- 証明書の有効期限に注意
輸入国によっては「発行日から〇日以内」の提出が求められることがあります。 - 証明書の記載ミスは大きなトラブルに
HSコードや製品名、原産国などの誤記載は通関拒否や関税トラブルのもとに。提出前のダブルチェックは必須です。 - 英文での記載が基本
COは多くの場合英文での発行が求められます。翻訳や記載方法も統一ルールに従う必要があります。 - 貿易協定(FTA/EPA)ごとの証明方式に慣れる
日本は20以上のFTAを締結しており、それぞれ証明方法や必要書類が異なります。よく使う協定は早めに理解しておきましょう。
■ まとめ
原産地証明書(CO)は、国際貿易において非常に重要な書類の一つです。「とりあえず作ればOK」ではなく、その内容や取得ルート、活用方法をしっかり理解しておくことで、トラブルを防ぎ、円滑な輸出入を実現できます。
特にFTA・EPAを活用したい方は、原産地証明制度と合わせて「原産地規則」の確認もおすすめです。